横浜日劇閉館。

 横浜日劇が 48 年の歴史の幕を閉じるとのこと。それに対して最近の映画屋さん(作る側と興行する側とか)に対して思っていることなど。

失われていくものばかり追っても仕方がないのは知っています

 横浜日劇が 48 年の歴史の幕を閉じるとのこと。そういえば最近いったのは小学生の時だと思いましたが、全然行っていないながらも伊勢佐木モール帰りに通りかかるたび、あの独特に雰囲気に映画の宇宙を垣間見ることが出来るのでした(ちょっとキザすぎ?)。ほとんど入場したことのない、むしろ外野である立場である私にこの件についてとやかく語る資格はありませんが、思ったことがふとありましたので書き連ねていこうかと思います。

 サントラに関するサイトをやっている立場として、去年の 2004 年のサントラはかなりまれに見るハズレ年でした。絶対的な購入枚数が学生の時より減ってきているというのもありますが、なによりわくわくさせる映画が少なくなった → サントラに対してもわくわくしなくなった、という図式が慢性的にここ数年あるように思います。映画本編に対しても思い入れのあるものでないと、やはりサントラにも思い入れを持つことが出来ない性格なのです。
 好奇心旺盛であった学生時代はどんなつまらない映画でも面白く感じたものですが(または感じられた)、最近は目が肥えたのかはたまた性格が悪くなったのかつまらない映画ばかりに思えて仕方がありません。

 実際問題、つまらない映画が増えているのも事実だと思います。従来の東宝系・松竹系などの制作会社別興業の図式が崩壊し、ワーナーマイカルなどのシネコン方式に映画配給方法の主力が移ったことで、売れない映画は2週間で看板から消え去る時代なったことから、みんなして売れる映画しか観なくなってしまいました。しかし必ずしも「売れない = つまらない」わけではなく、むしろ誰でにとってもそこそこ楽しめるように無難に作られた映画こそが、本当の映画ファンにとって一番つまらない映画だったりするわけです。たしかに今映画館に行けば何処でも同じような映画をやっているというのは便利ではありますが、掘り出し物に出会えない不幸もあるのです。

 一つ断っておきますが、シネコンが諸悪の根元というわけでなく、良くなったこともたくさんあるので一概に良い悪いということは言えません。制作会社別興業の時代は、面白いつまらない以前に映画興行自体に莫大なお金が必要で、それが映画を制作する上での大きなハードルだったと思います。しかし、いまは比較的低予算で(それでもそれなりな金額は必要ですが)映画を制作・公開することが出来ます。一言でいえば自由競争色が強くなったということですが、あまりそれを促進させすぎると共倒れになってしまうと思うので、難しいところです。今回の日劇の閉館もそれが影響した例のうちの一端だと思います。

 合理化の果てには、とか新聞記事のタイトルになりそうな言葉がたくさん浮かびますが、世の中がどうなろうと結局意志決定をするのは我々個人ですから、面白いと思うものを個人個人が選択していくうちに大勢が決まってゆくものです。要はそれぞれが映画に対してどんな楽しみを見いだすかではないでしょうか。単なるデートの道具に映画館に行くのも良し、果てには思い詰めたようにミニシアターに通い詰めるのも良し、私みたいにサントラに異常に愛を見出している奇特な人間もいたりします。これからは、個人それぞれが映画に対して何を見出しているか如何で、映画の今後が決まってゆくでしょう。
 今はインターネットが普及したりと、個人が動きやすい世の中ですからね!


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January 16, 2005 Comments (3) Trackback (1)
Kota さん January 17, 2005 11:24 AM

毎度! 実はここに投稿するのは初めてです。

>いまは比較的低予算で(それでもそれなりな金額は必要ですが)映画を制作・公開することが出来ます。

うーん、そうでもないかも・・・

>制作会社別興業の時代は、面白いつまらない以前に映画興行自体に莫大なお金が必要で、それが映画を制作する上での大きなハードルだったと思います。

この認識はちょっと違うように思います。

松竹や東宝など、興行権を持つ制作会社に属さない独立系については、昔も今も映画の制作費は大きなハードルです。

制作費が1億以下というのは比較的安価な部類で、5000万円以下だとメッチャ苦しくてスタッフ、キャストはまず無報酬、という感じらしいです。

で、その5000万なり1億なりって金がまず集まらないんですよ、昨今は。

映画というのは当たれば化ける馬券のようなもので、それを目当てに投資する人間、企業がいて初めて制作が開始できるのですが、映画産業そのものの利益率が以前より落ちていること、不況でそんな「馬券」に金を出す層そのものが減少していること、などにより、金が集まらないんです。

金額そのものが昔より低予算化してるのかどうか、は私にはわかりませんが、多少低額になったところで、その金額自体まず集まらない、というのが現状だと思います。

また松竹や東宝、にっかつなど、興行と制作が一緒だったところは、以前の方が制作費のハードルはまだ低かったと思います。興行の収益と制作費が直結してますし、たとえ興行の収益がよくなくても、映画会社全体の収益からある程度は制作費をひねり出すこともできたわけですから。とりあえず「自社」という制作費の出資元が確保できていた、という点においては、独立系などよりも全然ハードルは低く、制作費そのものが問題だったようにはあまり思えません。

むしろ映画産業という産業の規模そのものが縮小している今の方が大変なのではないでしょうか。実際制作本数は減ってますよね、たぶん。

ですので本当に映画を作るのは大変な時代だというのが私の認識なのですが、さらに大手興行会社に属さない独立系の場合は、作っても上映できない、というハードルが大きいんですよ。

「小屋」にかけてくれないんです。だって「小屋」は大手興行会社が押さえていて、彼らはそれぞれにドル箱(アニメやいわゆるシーズン時の大作、人気作のシリーズ物、すでに向こうでヒットして知名度の上がっている洋画など)をかかえていて、それなりの利益が予め見込めます。それらを押しのけてまで「ちょっと質のいい映画」とか「将来大物になるかもしれない新人監督作」「担当者が惚れ込んでやっと海外から買い付けた無名の映画」なんてのを上映する小屋は、単館以外ではそうそうありません。

「売れない映画は2週間で消え去る」んですが、逆に「2週間でも上映されればまだマシ」とも言えるんです。

さらに今の日本の映画産業のシステムでは、映画がどんなに当たっても制作側はほとんど儲かりません。入場料は半額を劇場が、25%ぐらいだったかな、を興行会社が持って行きます。つまり制作側は25%程度(正確な数字は忘れましたが、そんなに外れてないと思います)しか入らず、それをみんなで分け合うんです。映画がヒットして潤うのは劇場と興行会社で、しかも日本のたいていの劇場は大手興行会社が所有してますから、彼らの一人勝ちなんです。

だから本当に食えないですよ、制作者は。著名な監督でも、実家に頼るとか、夫婦共働きとか、実情はシビアです。

さらに今は映画そのものの儲けよりも、映画から発生する二次利益、三次利益の方が大きかったりするんです。DVD販売やレンタル、またアニメなどのキャラクターグッズなどですね。こちらの方が映画そのものよりも収益が大きいことが普通で、特に制作側からしたら、ただで少ない興行収入は期間限定なのに対し、その後の販売等は期限がないし、(監督とかは)興行収入の割当より作品の著作権料の方が歩合が高いです。だから人によっては「映画はDVDとレンタルのための予告編。その後の商品化パッケージが売れてくれればいい」という人もいます。

だから食えなくなったらアニメかアイドルの映画を作る。これが生き残るための方策なんです。その後の商品の需要が確実ですから。

と、なんか夢も希望もないような話ですいませんが(笑)、いや、ホントに映画の未来ってあんまり明るい気はしないですよ、今んとこ。

と、人の掲示板なのに長々とゴメンね(笑)
身近な話題だったので、ちょっと食いついてしまいました。

実は本当に書きたかったことは、「MacのFirefoxでここ見てるけど、acronymタグで囲んだ部分の点線が、下の行にかぶってちょっと読みにくいです」ということだったんだけどね!(爆)

たけだ@管理人 さん January 17, 2005 09:58 PM

 kota さんいらっしゃい!コメントありがとうございます。しかし長すぎです! 最初見たときコメントスパムかとびっくりしましたよ、あーもうっ! 次からは自分の Weblog に記事を書いて Trackback してください、宜しくお願いします。…おかげさまでテンプレートの脆弱性は見いだせましたが(笑)

 自ら書いた文章に対して補足説明させてくださいね。

 私(満 28 歳です)の場合、せいぜい映画を見続けているのは子供時代も含めて 20 年間程度ですが、日本の景気も良かった子供時代は邦画でも 10 億オーダー予算の大手制作会社が手がけた邦画がゴロゴロありましたよね。バブル崩壊後、不景気になってきた 90 年代からこういった作り方の映画が少なくなってきたことを受けて、独立系の低予算映画が昔より注目されるようになってきたのは確かだと思いますよ。映画産業の縮小云々とは別としてです。

 さらに外資の興業企業が多数(と、いっても今ではワーナーマイカルと AMC だけですが)参入してシネコン形式の興行を展開したことで、興業に関する様々な縛り(一定数以上の前売券を捌くことが興業の条件とか、高額な興業保証金等)はかなり緩くなっていると思います。昔みたいなお金とコネにものをいわせたような無茶な映画がない分、今はある意味健全かなぁと思うんです。で、ここではシネコン=外資みたいな書き方になっているので、今読むとちょっと変な文章です。修正します。

 でもワーナーマイカルに続く、外資系興業企業第2弾であったヴァージンシネマズはいつの間にか東宝系列の TOHO シネマズになってしまいましたし、そういえば 21 世紀に入ってから元気な独立系制作映画の話題をあまり耳にしませんし、確かに映画の未来は夢も希望もないのかも知れません。映画には夢と希望を逆に与えて貰うくらいであって欲しいのですが…。

 あと最後に、acronym に関してはどうしようもないんです。本来であればテキスト要素に対して下線を引く text-decoration : underline あたりでカタをつけるべきだとは思いますが、友人知人親類縁者から「リンクと間違える」という指摘を多数受けたので、inline 要素としての acronym に点線の border で下線を引きました。実は HTML 的にも間違った使い方をしていて、 acronym は頭字語の要素にべき使われるべき略語要素で、本来であれば abbr とか dfn を使わなきゃダメなんですよね。全盲の某友人に怒られます。全部 Win IE の為の妥協です。すいません。

Kota さん January 18, 2005 01:22 AM

>しかし長すぎです!
あ、やっぱり(笑)

>次からは自分の Weblog に記事を書いて Trackback してください、宜しくお願いします。
そっか! そういう手があったか!
全く気付かなかったよ(笑)
今度っからそうしますね、申し訳ない。

今度こそ手短に(笑)

なるほど、映画を捕らえるスパンが私と違ってるのがよくわかりました。
80年代のバブルって一時期の現象と私は思っていますし、それ以前の邦画の歴史の方が積み重ねも長いので、それ以前を前提に考えてました。
長くなるとまずいので避けますが、自分の生まれる前のことを知っておくのもよいと思いますよ。
私の方が年上ですが、自分の実年齢なんて映画や音楽の歴史に比べたら「屁」みたいなものですから、こだわる意味がないように思います。

acronymの件は了解です。これでも長いかなぁ?(笑)

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