Digital Piano の悩み

ふつうのアコースティックピアノに対し、デジタルピアノの表現力には当然限界があります。

Digital Piano の悩み

何が違うのだろう?

うちにある YAMAHA P-80  自慢じゃないですが、私が持っているDigital Piano(以下デジピ)、YAMAHA P-80 ははっきり言って安物です。まあ導入(というか知人から売って貰った)を考えているときも、一人住まいでスペースに限界があるしとりあえずハンマータッチさえ付いてればそれでガマンしようと思い、割り切って購入したのですが、もうすでにガマンできなくなりました(笑)。

 ピアノ教室に置いてあるピアノがベヒシュタインとかいう、これまたいいピアノらしく、普通にコード押してるだけでうっとりしてしまいます。それに対し、私の持っているYAMAHA P-80も最初は三和音程度のコードを弾くのが精一杯だったので気にならなかったのですが、最近ではセブンス(4和音)を多用するようになってきてその出音の酷さに愕然。
 何と言うか、不協和音みたいな気持ち悪い音になるんですよね。3和音ではあまり気にならなかったのですが。普通にC7とか弾いても変な気がするのです。C(3和音)では違和感を感じません(感じ取れない?)。

 これって何が悪いんでしょう?? よくシンセ(デジピ)は生楽器(アコースティックピアノ→以下アコピ)に勝てないといわれますが、どうしてでしょうか。調律の具合?…たまたま気持ちよく聞こえる様に教室ピアノの調律がうまい具合にずれていた…なんてことはないですよね。(^^;
 というわけで友人知人インターネットとついでにヤマハ支店のおねいさんまでも巻き込んでいろいろ調べてみました。

まず音の面から

 アコピは鍵盤を押してハンマーを作動させて弦を打つことで音を発し、その音は弦だけではなく金属と木で作られた筐体自体も振動することで鳴らしています。さらに打っていない近隣の弦も共振して発音に一役買っているとのことです。つまりハンマーで打たれた弦・その他の弦・筐体の三者一体で音を出しているということになります。

 それに対しデジピは実際に本物のピアノから録音された音をメモリに持っていて、押された鍵盤に対応した音程を逐次再生する仕組みになっています。しかしこの方法にはいくつかの問題点があります。
 まず和音を鳴らした場合の表現がアコピと同じではなく、単に押した鍵盤の数だけの音程が別々に鳴っているだけに過ぎません。三者一体の奏でる音にはほど遠いものです。
 次にデジピに限らずPCM電子楽器の宿命、サンプリング周波数の問題があります。どんな楽器であれ、ラの単音(A4。MIDIノートナンバー69)を出すとその音自体である440Hzの以外にも、880Hz・1320Hzといった整数倍の音(倍音)を含んでおり、これらの構成で音色というのが決まるのですが、PCMではこれの上限が打ち切られてしまいます。CDと同じ44.1kHzのサンプリング周波数であれば半分の22.05kHzを上限とした倍音までしか持ち合わせていないことになります。 音楽鑑賞という目的であれば問題ないかも知れません。もしこの倍音が和音を弾いたときに干渉し合って豊かな音を出しているとすればれは結構大きな問題です。ちなみに2000年位を境に、それ以前の電子楽器のサンプリング周波数は今より低い32kHzなどの製品が主流でした。

鍵盤の質

 アコピ鍵盤の構造はとても複雑です。構造の詳細な解説はあまり詳しくないのと、面倒くさいのなどの理由で他に譲りますが(笑)、鍵盤を押した力がそのまま弦を叩くのではなく、いったんハンマーを宙に浮かせてその力を委ねて弦を叩かせて、叩いた後に戻ってきたハンマーがバウンドして再度弦を叩かないようにハンマーを保持する、という複雑なことをカラクリだけで行っています。

 このカラクリの質感を簡素なバネとおもりだけで再現することがメーカー各社で切磋琢磨されていますが、まだ完全なものはありません。しかし一昔前に比べてかなり改善されているとのことです。全く別のアプローチでセンサー以外はアコピと全く同じ構造を持つというデジピあります。ここまでくると本物買えよってかんじですが…。

 以下のサイトにアコピとデジピ鍵盤の構造について詳しく解説されているので、参考にしてみて下さい。ここまで詳しくは私には無理です(笑)
Digital Piano Impressions

 ちなみに私の持っているP-80の鍵盤タッチはRolandやKAWAIにくらべてかなり重めなのが最初は気に入っていましたが、長時間弾いていると肩が凝るのでちょっと嫌気がさしてきたかも…。でもRolandの軽さは気持ち悪いんですよねぇ~難しい問題です。

Giga Studio

 鍵盤の質における問題は致し方ないとしても、出音については電子楽器でありMIDIを備えている以上、ある程度の悪あがきをすることは出来ます(笑)。そのアプローチのひとつであるGiga StudioというWindowsソフトウェアで添付のGiga Pianoというサンプルを走らせるのはそれなりに定評のある方法のようです。これはGiga Studioというソフトウェアをパソコンにインストールすることによって、パソコンの性能が許す限りスペック無限のPCMシンセサイザーにするというサンプリング・ワークステーションです。

 このソフトウェアに標準添付されているGiga Pianoというサンプルを噛ませてやれば、パソコンが600MBという膨大な量のサンプル容量を持つデジタルピアノ(現在のデジピは数十MB程度)に早変わりという、まるで夢のようなソフトウェアです。サンプリング周波数はおそらく96kHzと思われますが、現在調査中。

 しかし、実際に使っている人にお願いして自分で試してみたことがあるんですが、「そんなに凄いか?」というのが今のところの率直な感想です。私の持っているYAMAHA P-80よりはちょっといいかな、程度です。ただしパソコン自体の性能や、なによりサウンドカードによってかなり聞こえ方が異なるらしいのでこれだけで結論づけるには早計だとは思います。しかし、正直カタログスペックの豪華さに騙されて、期待を裏切られしまったという感は拭えません。言い換えればPCM方式の未来が見えてしまった、とも言えます。
 まぁ一つの可能性として書いてみました。

出音だけで Digatal Piano を選ぶなら

 本当なら製品に直に触れる方がいいのでしょうが、出色を客観的に判断するというのはけっこう難しいと思います。メーカー各社のWebサイトにもデモ用としてサンプルのMP3オーディオが置かれたりはしていますが、同じフレーズで比較してみたいというのが本音です。しかし、そこのあなた! こんなサイトがあります。
Digital Piano Shootout

 ここは同じMIDIシーケンスデータを無数のデジピや先ほどのサンプラーなど楽器を問わず、MIDI演奏させたものを高音質のMP3に録音し、それを比較用の資料として視聴することが出来ます。さらにそのMIDIデータ自体もダウンロードできるので、自宅のピアノにこれを演奏させて如何ほどのものか試すことも可能です。

こんなDigatal Piano出ないかね?

 YAMAHAのシンセイサイザーでVL-70mという機種があります。一見普通の音源モジュールのようですがこの音源の面白いところは、VA(ヴァーチャルアコースティック)という金管楽器などを演算により物理的にシュミレートするというアプローチから設計された音源を持っていることです。
 通常のPCM音源で音色を変える作業はWaveを切り替えるという作業ですが、この音源は楽器の材質や弾き方などを数値で指定してやるというもので、シンセとしてはかなりリアルな音を出すことができ、わたし自身も初めてその音色を聴いたときは度肝を抜かれた記憶があります。

 この音源は残念ながら弦を叩く楽器をシミュレートできないのでピアノのような音を出すことは出来ず、なにより同時発音数が1なので同時発音数を湯水のように消費するピアノを鳴らすなんてのはもってのほかです。しかしこの音源は1996年に発売され、その後のパソコンの高性能化を見てわかるようにCPUの性能も進化しています。そろそろ出来るんじゃないかい?ピアノをシミュレートするシンセ。そして指定するパラメータはこんな感じで。

  • 弦の取り付け方法(グランド・アップライト、etc)
  • 筐体木材の材質
  • 温度湿度による筐体の膨張

 …まさに夢ですが(笑)

まとめ

 まとめでこんなこと書くと今まで長々と書き綴ってきたこの頁の存在意義が根本からひっくり返されてしまいますが、やっぱり環境が許すのであればアコピがいいですね。
 数十万円出して高級デジピを所望するのであれば、中古で消音ユニットをつけたピアノが同じくらいの値段で入手することが可能であることを勘案すると、やはりそっちに傾いてしまいます。
 だけど今は無理ですね。こんな長々とうんちくを語ってはいますが(笑)、演奏自体は小学生レベルですし、今の住居であればアップライト型も置けなくはないですが、いつまでいるか分かりませんしねぇ。


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February 3, 2004 Comments (7) Trackback (0)
しゃく さん January 11, 2005 12:33 AM

P-80の情報を調べてたらここにたどり着きました。
デジタルピアノに対して漠たる違和感を持っているんですが、
それをうまく説明してるように思え、
大変、参考になりました。どうもありがとうございます。

たけだ@管理人 さん January 13, 2005 11:47 PM

 コメントありがとうございます。
 鍵盤のタッチに関しても言及していますが、私が特に感じている違和感はやはり音ですね。特に4つ以上鍵盤を押す和音に関しては、転回和音が悲惨な結果になってとても困りました。

♪player さん June 2, 2007 02:36 AM

私はホワイトバージョンのP-80を持っていますが、これで不満が出ることはほとんどありません。もし大きな不満が出る方は接続しているオーディオ装置に問題があると思います。P-80は残念ながらアンプやスピーカーを内蔵していません。逆に言うと接続するオーディオ装置によって良くも悪くもなります。実際、本格的オーディオとミニコンポとポータブルCD/MDシステムに接続してみましたが、ポータブルCD/MDシステムでは貧弱な音しか出せませんでした。ミニコンポでやっと練習用にはなるかなぁと言う程度です。本格的オーディオ装置につなぐと本物のグランドピアノに近い音色でこれ以上を電子ピアノで望むのは無理と思える位です。満足できない方はぜひお試し下さい。

♪player さん June 2, 2007 02:43 AM

追記。もし、住宅事情等で本格的オーディオ装置に接続できない場合は、良質な高級ヘッドフォンをお使いになることをお奨めします。出来れば高級ヘッドフォンアンプを接続した方がいいかもしれません。

とおりすがり さん August 14, 2007 01:34 PM

デジピで良い音求めるなら最低20万は出さなくてはならないのでは。
Rolandのデジピ上位機種になるとアリコートやストリングレゾナンス、アンビエンス、蓋の開き具合いといったパラメータが可変できるものがあるよ。
楽器ってものはそれなりにお金を出さなきゃいけないんだよ。

通りすがり さん April 16, 2008 12:42 AM

P-80を数年使って来た者です。
音は出力装置によって全然違いますよ。
自分が使ってるのはSONYの業務用ヘッドホンMDR-CD900STで、
昔のYAMAHAのアップライトの素直さを感じます。

鍵が重いとの事ですが、
私は逆にこれを利用して練習の時、打鍵の安定向上の設定をハードにして練習をしています。
指の独立運動に大変役立つと思います

たけだ@管理人 さん April 19, 2008 12:37 AM

音については単に音がよい悪いではなく、セブンスまたはそれ以上のコードを用いたときのデジタル独特の不協和音が気持ち悪いと言うことです。特に半音階差の音が連なる長七度メジャーセブン系(Cmaj7, Cmmaj7 などなど)の共鳴が気持ち悪くて仕方がありません。あとフラットファイブが(-5)が入るとこれまた気持ち悪くなるのが昔から不思議でした。ただしこれは経験的なもので、理屈は分かりません。

鍵が重いぶんには、今ではむしろ全然構わないと思っています。むしろ仰るとおり、指の運動に丁度良いのと、重い鍵盤に慣れておけば出先で弾いたことのない鍵盤で思わぬ演奏を行うことになった折りに、最初の一打目でそのピアノに必要な打鍵力(とでもいうのですかね?)を把握しやすいと思います。

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