
連れからチップチューンミュージックの代表格、YMCK というバンドを教えてもらったのがちょうど一年ほど前。チップチューンミュージックというのはテレビゲーム機に使われている、およそ楽器として使うのははばかられるような安っぽい音を出すシンセをあえて楽器として使った音楽のことです。CPU のチップが作り出す音楽、だからチップチューン、いわゆる昔のファミコンとかで良く聞いたピコピコ音で、YMCK では
ちなみにこの YMCK というグループのアルバム、発売元はウサギチャンレコーズというインディーズレーベルですが、何故か一般のレコード店でも入手出来ますし、TSUTAYA などではレンタルまで出来るみたいです。
その YMCK のイベントに、銀座はアップルストアまで行って来ました。アップル店員の人の格好はほとんどの人がTシャツで、さすがアメリカナイズな外資系企業...と思いましたが、男性社員の人(日本人)の腹もみんな出っ腹状態で、余計なところもアメリカナイズされているもんだなあと関心したものです(笑)。
イベントの構成にはライブもちょっとだけ含まれているのですが、メインは Apple 謹製シーケンスソフトである Logic を使った(これがあるからアップルなんですね)楽曲制作過程の紹介です。なんと YMCK では自分のバンドで使うソフトシンセまで自主開発しており、そのオリジナルのソフトシンセ Magical 8bit Plug を Logic にアサインしてファミコンらしさをいかに出すかの具体例を、バンドメンバーでもありプログラマーでもある Yokemura 氏が直々にプレゼン形式にて紹介するという内容です。。
例えば、同時に鳴らす音はファミコンのスペックと同じく4ポリに収めるために、コードの第3音を省略して音数を稼ぐとか、高速アルペジオでユニゾンちっくにしてより音をゴージャスにするとか。あとは発音パートはできる限り休ませる状態にはせず(いわゆる休符状態)、なるべく他のパートの演奏に参加させる等々。。。昔の黎明期の DTM みたいな話がいっぱい聞けてとても興味深かったです。
さて、この Magical 8bit Plug。専門的に言えば初期の電子楽器が出すような基本的な音色波形(方形波・パルス波・三角波・ノイズ)を出すソフトシンセなのですが、キモはあくまでも「ファミコン的に」作り出すというところです。現在売られているシンセの多くはこれらの波形を出すことは容易いことで、正確な波形を簡単に得ることが出来ます。それに対し、ファミコンの音は CPU が疑似的に作り出していることによる独特の波形歪みがあるのですが、それさえも再現するという凝りよう。でも、これがまたあの独特なあくを持つ電子音になっているのですよ。たかが電子音ですが、奥が深すぎる。
さて、これを実際に家でやろうと思ったら大変です。家で DAW を既にやっている人でしたら、 Magical 8bit Plug を持っているシーケンスソフト(ホストアプリケーションとして使えるもの…ぼくも持っていません)に組み込めば簡単にピコピコ音を出せますが、ゼロからやるにはシーケンスソフトから所望しなければならず、これが数万円~数十万円の出費になってしまいます。
これを最低限の出費で、必要なものと手段を紹介しましょう。
とりあえず、最低限音を鳴らすためだけに必要なものとその方法を紹介します。シーケンスソフトは高すぎるのと、初心者には敷居が高すぎるので、ホスト機能のみを持ったソフトウェアがいいです。CONSOLE というソフトなのですが、私もピアノ用途で使っています。1カ月まではお試し期間で無料、それ以後も ¥6,400 で買えるので(音楽ソフトとしては)とてもリーズナブル、かつシンプルで分かりやすいソフトです。あとは Magical 8bit Plug さえあれば、取りあえず音を出すことだけは可能です。
まず CONSOLE と Magical 8bit Plug をダウンロードし、インストールします。 Magical 8bit Plug はインストーラーがないので、解凍後 CONSOLE の VST フォルダ (C:¥Program Files¥CONSOLE¥VST) の中にでもフォルダごとカット&ペースとしてやりましょう。そうしたら次に CONSOLE に Magical 8bit Plug を組み込む作業をします。
CONSOLE を最初に起動したときに、どのサウンドデバイスを使うかの設定をします。今回はとりあえず、パソコンでいつも音を出しているデバイスを指定します。「ドライバの種類」を選び、使えるデバイスのタイプを探します。タイプを選択後、デバイスを選択。これはパソコンによって異なります。
次に Magical 8bit Plug を組み込みます。先ほど放り込んだフォルダを選んでやり、階層を All にしたうえで「全パス」で検索を開始させます。
検索終了後、VSTi プラグイン一覧に Magical 8bit Plug と CSL Sequencer ( CONSOLE に付属しているシーケンサプラグイン)が表示されていれば成功です。
さて、実際に音を鳴らすためにはシーケンサと Magical 8bit Plug とサウンドデバイスを繋いでやらなければなりません。プラグイン一覧とデバイス一覧から以上の3つをドラッグ&ドロップしてやり、以下のように繋いでやります。これで音を出す準備は終わりです。
さあ、接続がうまく行っているかの確認もかねて、実際に音を出してみましょう。上部の電源スイッチを入れてやり、CSL Sequencer をダブルクリックして開いて、左端にある鍵盤をクリックしてみましょう。…音は出ましたか?
この CSL Sequencer、簡易なシーケンサとして機能するので、簡単な曲だったら作ることが出来ます。いろいろ作ってみていじり倒してみましょう。
実際に演奏してみたい方、MIDI を経由して鍵盤等で演奏することも出来ます。音が音だけにベント(音程を連続に変化させるレバー)も欲しいので、これを満たしている最安 MIDI キーボードは私の知る限りでは CASIO 製の GZ-1 があります。実はこれ、YMCK のパフォーマンスで Yokemura 氏も使っていました(笑)
CSL Sequencer の機能では曲を作るには貧弱すぎる、という方には別途シーケンサを所望すると良いでしょう。ホスト機能抜きであればフリーウェアでいくつかあるのですが、これも知っている範囲で安定して動いてくれそうなのだと Cherry あたりでしょうか。私は初代の SONAR (有料)を使っています。
この音源で作るといったらやっぱりスーパーマリオでしょ。というわけで作ってみましたので、聴いていただければと思います。ちなみにオリジナルと何かが違う気がする…のは気のせいです(笑)。
ちなみに MIDI ファイルはこれです。2のほうはあまりに単純な曲なので、録音したら削除してしまったので MIDI ファイルは残っていません。作りやすいので、みなさんで作ってみては。
この CONSOLE というソフトは VSTi と DXi ホスト機能に特化した、非常に柔軟性の高い音楽制作ソフトウェアで、私自身も大変お世話になっています。私がこれを使っているのはお金が余りないというのもありますが(笑)、ソフトシンセを演奏用として使うのにとても便利だからです。ホスト機能付きシーケンサに比べるとちょっと応用性が求められるかもしれませんが、ファミコン音以外にもいろいろなソフトシンセを使っていろんな音を出すことが出来ますし、その中には Magical 8bit Plug と同じくフリーでありながらプロ並みの用途に耐えうる秀逸なものあります。これを機会にパソコンを使った音楽制作にみなさんも手を出してみてはいかがでしょう?
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