音源規格について

1991年に推奨仕様として採用された GM (General MIDI System Level 1) から始まったマルチティンバー音源モジュールの音源規格。ここでは音源規格がどのようなものであるか、そして音源規格の歴史とこれからに関して述べています。

音源規格について

 MIDI信号をファイルに記録した MIDI ファイルは音波の情報ではなく、演奏される音階などから構成される演奏情報であり、デジタルな楽譜とも言えます。音波信号である WAVE データはどのパソコンで聴いても同じ音楽を聴くことが出来ますが、 MIDI データは楽譜と同じく演奏される楽器(つまりMIDI音源)によって全然別の曲になってしまいます。ピアノ用に作られた曲がオルゴールで演奏されるともうそれは別の曲ですよね。

 現在DTM向けとして発売されている音源は数百に及ぶ音色を演奏することができます。これらの音色は全て番号がつけられていて、番号を指定することによって音色を選ぶようになっていますが、昔はこの番号の割り振り方が音源によってまちまちだったので、「A音源用に作られたMIDIデータをB音源で演奏されるとめちゃくちゃな曲になってしまう」ということがよくありました。こういった不具合を少なくするために音色の番号の割り振り方に規則を定めた音源規格というのが提唱されました。

GM(General MIDI System Level 1)誕生

 DTMの走りとなった「ミュージ郎」に同梱されていた音源モジュールは Roland MT-32 であったことから、しばらくはこの音源モジュールが事実上の業界標準となっていました。しかしその後メーカーや機種に制約されることなく、音源の動作・振舞いや音色配列を共通化するため1991年に AMAIMMA によって推奨仕様として採用されたのが、GM(GM1)、すなわちGeneral MIDI System Level 1です。同時に業界標準として採用されたMIDIファイル形式のフォーマット SMF(Standard MIDI File)の普及も手伝って、MIDIデータを他の人とやりとりすることが簡単に行えるようになりました。

 GMの仕様を簡略に述べると以下のようになります。
  • プログラムチェンジを利用して128音色 + 1ドラムセットが使用可能。
  • コントロールチェンジにてModulation Deapth(ビブラートの強さ), Volume(音色の大きさ), Panpot(パンニング), Expression(抑揚表現), Hold1(ダンパー), RPN & DataEntry(RPNデータ設定) を制御できる。
  • Pitch Bend とその変化幅を設定できる。
  • ドラムは10ch使用で、47音色。
  • 24ボイス以上の発音能力。
 ロゴマークはこれです。
Roland GS、YAMAHA XG。

 GMだけでも必要最低限の演奏をさせることが出来ますが、様々な曲を演奏させるには使用可能な音色が少なすぎたり、Reverb や Chorus などの一般的なエフェクトについて決められていなかったりと、まだまだ不便な面もありました。そこでRolandとYAMAHAによってGS・XGという、GMの拡張規格がそれぞれ提唱されました。(*)

 両者とも方法こそ違いましたが、それによって可能となったことはほとんど同じです。概要としては

  • バンクセレクトを用いて128音色以上の音色が使用可能。ドラムマップも複数種類から選択可能。
  • コントロールチェンジにてPortamento(ポルタメント), Sostenuto(ソテヌート), Soft Pedal(ソフトペダル), NRPN などを制御できる
  • Attack, Decay, Releace Time を設定可。
  • 基本的なエフェクトである Reverb, Chorus の使用とそのパラーメータ設定が可能。
  • Cutoff Frequency や Resonance などのフィルタ操作が可能。
  • Vibrate の Rate, Depth, Time などの設定が可能。
 XGの方が後発の規格であることから、GSに比べて以下の点について強化されています。
  • Multi EQ が使用可能。
  • Reverb, Chorusに加えて Variation Effect が使用可能。
 簡単にまとめるとこうなるのですが、上に述べたこと以外にも細かい点ではそれぞれの特徴があるとはいえ、現在のPCMシンセサイザーを駆使するにおいて重要なパラメータは両者の規格内ですべて網羅されています。
(*) GM 拡張規格であるはずの GS 規格は何故か GM より先に制定されています。これは GS 制定時に GM の詳細がまだ決まっていなかったためです。(一部機能変更する必要はありましたが)GS は GM のすべてを満たしているのに、こういった事情で初期の GS 音源(SC-55 と CM-300 の初期ロット)には GM マークがついていないものもありました。

 その後Roland音源にもXG規格のMulti EQ, Variation Effect に相当する機能が盛り込まれましたが、GS 自体の定義には盛り込まれていません。

そしてGM2(General MIDI System Level 2) へ

 やれることが似ているならいっそ統合してしまえば…ということで推奨仕様として再度採用されたのが GM2 です。以前の GS や XG の基本的なコマンドはすべて統合してしまって、応用的要素である Insertion / Variation Effect なんかは機種依存で何とかやってもらおうという意図なのでしょう。

 この規格制定によって、今まで手間のかかる NRPN を用いて行った設定がすべて Control Change にて行うことが出来るようになりました。と、いってもそれらは先程述べた基本的なコマンドであって、エフェクトなどその他の応用的要素は System Exclusive などで従来通り設定する必要があります。しかし現在の PCM 方式の音源モジュールにおいては基本設定だけでもかなりのチューニングが出来るはずです。

GM1・GM2・GS・XG 重要コマンド一覧
Important MIDI Controller List
CategoryControlGM1(1991)GS(1991)XGGM2(1999)Remarks...
Change
Instrument
Program Change
Bank Select×CC#0, CC#32CC#0, CC#32CC#0, CC#32
VolumeCC#7CC#7CC#7CC#7
PerformancePitch Bend
Polyphonic Key Pressure××(incertitude)×
Channnel Pressure××(incertitude)×
ModulationCC#1 CC#1 CC#1 CC#1
Portamento× CC#65 CC#65 CC#65
Portamento Time× CC#5 CC#5 CC#5
PanpotCC#10 CC#10 CC#10 CC#10
ExpressionCC#11 CC#11 CC#11 CC#11
Hold1(Pedal)CC#64 CC#64 CC#64 CC#64
Sostenuto× CC#66CC#66 CC#66
Soft× CC#67 CC#67 CC#67
EffectControlReverb Send Level× CC#91 CC#91 CC#91
Chorus Send Level× CC#93 CC#93 CC#93
Variation Send Level× CC#94(*) CC#94 ×
DataRPNCC#101, 100CC#101, 100 CC#101, 100 CC#101, 100
NRPN × CC#98, 99CC#98, 99 ×(*)
Data Entry CC#6CC#6 CC#6 CC#6
Data Increment × × ×
Data Decrement × × ×
FilterCutoff Frequency× NRPN 1, 32CC#74CC#74
Resonance× NRPN 1, 33 CC#71CC#71
EnvelopeAttack Time× NRPN 1, 99 CC#73CC#73
Decay Time× NRPN 1, 100 NRPN 1,100CC#75
Release Time× NRPN 1, 102CC#72CC#72
LFO(Vibrato)Vibrato Rate× NRPN 1, 8 NRPN 1, 8 CC#76
Vibrato Depth × NRPN 1, 9 NRPN 1, 9 CC#77
Vibrato Delay × NRPN 1, 10NRPN 1, 10 CC#78

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February 3, 2004 Comments (0) Trackback (0)
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