CD に MD に MP3 に iPod、はては iTMS。最近の音楽は本当にお手軽に楽しめるようになりましたね。私の世代でかろうじて知っている、アナログレコードやカセットテープ全盛だったあの頃の、音楽鑑賞がとてつもなく面倒でやっかいだった時代。
針またはへッドと盤を物理的に接触させて音楽を再生することから盤やテープの鑑賞回数が(理屈の上では)有限であった音楽、アナログ記録ゆえに必要な音質を確保するのにとても神経を使っていた音楽、トラック分けされてない故に聴きたい箇所がいつでも好きな時に聴けない音楽。またインフレによって物価が上がっているのに対して、アルバムの価格が昔とそれほど変わっていないことを考えると、今よりはそれなりな身銭も切らなければならかったことでしょう。
これだけの面倒さがあったのだから、音楽を聴くにもそれなりの姿勢があったのだと思います。今は iPod のような便利な機器がたくさんあるし、CD レンタルもあるから音楽を聴くのにもそれほどの覚悟なくお手軽に楽しめる。そういった便利さは、それはそれできちんと享受しておくとして、これからは逆に便利になったことを意識して音楽を聴いていかないと、音楽が単なる使い捨ての娯楽のひとつになってしまうんじゃあないか、と怖くなってしまうことがあります。そんなわけでたまにはじっくり楽しめるような音楽を買ってみようじゃないか、と kota さんのおススメ(なのかな?)していた Pat Metheny Group "THE WAY UP" を買ってみました。
前回記事はこちらを参照。↓
さて、THE WAY UP を手に入れたはいいものの、以前の記事で書いているように私は PMG についてはほとんど知識を持ち合わせておらず、我ながら無謀とも言える買い方ですね。しかし音楽に限らず、自分の趣味や趣向で選んでばかりいると、自分の知らないジャンルの面白いものやを見つけられなくなってしまいます。今回はちょっとした冒険してみました。
購入してから約2週間が経ち、音楽を聴くことの出来る時間で半分以上 "THE WAY UP" をかけていました。家でじっくり聴いたり、通勤途中に MP3 プレーヤーで聴いたり、仕事しながら聴いたりしましたが、結論から言うとこのアルバムはいろいろな聴き方の出来る、八方美人(悪い意味と良い意味の両方を敢えて含む)のアルバムのように感じました。
この手のジャンルの音楽を他に聴いたことがあまりないので PMG の演奏技術云々についてあまり語ることが出来ないのですが、確かに見聞の通り隙のない演奏のように思います。細かいディティールまで追い込んで聴いていけば、もっと楽しめるかも知れません。時々顔を出す凄い演奏部分も、技巧を追っかけるファンにとってとても楽しめるのでしょう。
しかし、全体的に同じような調子で楽曲が続くことで、印象的な部分が少ないわりにはやたら長いという先入観を抱いてしまい、ぱっと聴きはどうしても没個性なアルバムに感じました。しかし聴き込んでいくことで、実はアルバム全体を通した雰囲気を独特のシリアスなテンションで計算高く統一しようと頑張っているのかなぁ、という理解に変わっていきます。ブックレットのメセニーの言葉にあった「統括的な音楽を」はこのことを言うのでしょうか。あれもこれも入れてみて均したような、メセニーの百科辞典的なアルバムであるような気がします(他のアルバムは聴いたことないけどね!)。なので、これはこれで流しっぱなしで環境音楽のように、敢えてメセニーであることを意識しないで聴く楽しみ方もアリな気がします。
そんなわけでこのアルバムは深く聴き込むのもアリ、適当に聴き流すような聴き方もアリで、長年のファンにとっても、そして私のようなたまたま立ち寄ったような流浪の身にとっても、「大きく外してしまわない」アルバムだと思います。しかし、しかしです、あくまでも「大きく外していない」というだけであって、このアルバムが果たして人に勧められるか、となると難しいと思います。誰にでも愛想のいい八方美人はクラス中の男子にはモテモテですが、あまり度を超すとクラス中の女子を敵に回してしまうものです(笑)。今回のこのアルバム、果たして世界中のメセニーファンを敵に回さずに済むのでしょうか。
私も取り敢えず聞き飽きたので(笑)、しばらくほったらかしにおいて熟成してまた聴いてみます。そのときにはまた印象が変わっていたらいいんですけど。
まいどです。
やっぱ行きがかり上オレがコメントしないとマズいよね(笑)
長くならないよう気を付けつつコメントします(^^;
私がこのアルバムをおススメしないのは、PMG初体験の人に対してです。逆にPMGには馴染みがなくても、現代音楽とか前衛的なジャズとかに親しんでいる人にはおススメしたい誘惑に駆られます。
PMGファンにも、たけださんのように「さして良くも悪くもなく、八方美人的」という感想の人はいます。ですので特に初めて聴く人には、こういう感想がもっとも多いだろうなぁ、と思ってました。
あと私見ですが、「あれもこれも入れてみて均したような、メセニーの百科辞典的なアルバム」というのは、結果的にはそう見えるけど、それが狙いだったのではなく、それぞれのシーンの展開にはもっと内的な必然性がある、と私は感じています。
いろんな要素を詰め込むことが目的だったのではなく、作っていったらいろんな要素が入り込んでいた、という成り立ちで、順序が逆のような気がします。
あまり長居するとアレですが(笑)、私も一応一カ月聴いてみて、最初の頃とは違う印象を持ちつつあります。一つは、これはやはり「一曲」なのだ、認識が強くなったこと、もう一つは、この作品はやはりPMGの最高傑作の一つで、明らかにこれまでとは違うレベルの音楽ではないか、ということです。
ちなみに「今回のこのアルバム、果たして世界中のメセニーファンを敵に回さずに済むのでしょうか。」というのは全くの杞憂のようです(笑)
ゴメン、最後にあと二点だけ。
日本盤は良くないです(笑)詳細はオレのブログにあります。日本語解説も、解説者が自分のサイトに丸々掲載しています(笑)
あとPMSじゃなくてPMGね(笑)
ともあれ、2週間お疲れさまでした!(笑)