第2回ウイスキーフェスティバル 2009

 去年から開催されているスコッチ文化研究所主催のイベント、ウィスキーフェスティバルのお手伝いに今年も行ってきました。

WHISKY Festival in Tokyo 2nd

酒販店

 去年から開催されているスコッチ文化研究所主催のイベント、ウィスキーフェスティバルのお手伝いに今年も行ってきました。

 今年は去年の倍の来場者を見込んでいるとかで、プライベートパーティ向けの銀座アミュゼから、大規模な結婚披露宴もこなせそうな青山ダイヤモンドホールに昇格。お手伝いスタッフも去年より大幅増員されていました。

 と意気込みだけ一人前ですが、前日に会社の人と飲みに行ったときに食べた生牡蠣に当てられてしまい、フェスティバルの前夜はずっと吐きっぱなしでほぼ無睡のままへろへろで臨みました。実は以前に生牡蠣に当たってしまったことがあり、今回食べたのは新鮮なちゃんとした店のものでしたが、おそらく生牡蠣という食品自体に体が反応してしまったのだと思われます。それにしても、ほぼ無睡の状態で、体もつかな…。

今年はチェイサー係

 去年は試飲コーナーでひたすら他人様のグラスに注ぎ続ける任務でしたが、今年は会場内を巡回してテーブルに置かれた水差しにチェイサーを補充し、たまった飲み残し容器を回収して捨てる係。やはり去年のあの一角はシロートには無理がありすぎました。瓶の裏から見ても銘柄分からないし、専門的な質問受けても全く分かりませんし。

 オープン直後である 11 時くらいまではまだ来場者の酔いの回りも少なく水の補充作業も余裕でしたが、14 時くらいになってくるとお客の酔いも回ってきたせいか、急激に水の消費量が増えだしました。この頃は確か入場者数がピーク最大の 600 人になっていた頃でもあり、これを 16 の水差しと 5 人の人員で行っていたので、現場はとんでもないことに。

 飲み残し容器も、容器を回収してから中身を捨てて元の場所に戻す方式では追いつかなくなり、途中からバケツを持ち歩いて回収して回る方式に変更。もう何でもござれです。

 しかしどこの世界にも迷惑なお客というものはいるもので、試飲したお酒を全く飲みこまずに、飲み残し容器に片っ端から吐き捨てている人!! しかも開場から閉場まで延々と!!その飲み残し容器はグラスに飲み残した(飲み切れなかった)お酒を捨てるものであって、痰壺ではない!! それ以前にそのお酒を作っている職人たちの気持ちを考えましょう。

 次に補充している水差しから 2 リットルペットボトルに移し替えている人!! 2回それをやったら水差しがカラになって他の人の迷惑にもなるから止めてください。…とは言っても、会場で売っていたミネラルウォーターも瞬間蒸発的に売り切れたから、スピリッツのストレート飲みに慣れていない人は厳しいですよね。水割りとかソーダ割りなどの飲み方が全く提供されていませんから。なので次回以降はアルプスの天然水を自前で入荷しておいて、ブースのミネラルウォーターが売り切れたことを見計らって一本千円でぼったくってみるのも手です。顧客満足度も引き上げつつ足元見まくっていますが何か? 

…まぁそれは冗談としても、スコッチ文化研究所公式チェイサーペットボトル 500ml ペットを売り出してもいいかもしれません。土屋守サイン入り。

 休憩時間は寝ていたので、今回はほとんど飲み(飲め)ませんでした。そもそも徹夜へろへろの体がアルコール度数 40% 超えのお酒を受け付けるわけがありません。せっかくのイベントなのに大変もったいないことをしてしまいました。もう新鮮であろうと取れたてであろうと牡蠣は食べません。

ハギスの儀式
大皿に盛られたハギス。これから百人分程度に取り分けられます。

 会の途中で2回ほど、ハギスの儀式というのが執り行われました。ハギスというのはスコットランドの伝統料理で、茹でたヒツジの内臓のミンチを羊の胃袋に詰めたソーセージのような食べ物です *1 。これを会場内で行われたハギスの儀式に使って、終わった後に観客に提供されるのですが、私は裏方でこれを百何十人分の容器に取り分ける作業もしていました。裏方作業の忙殺されて、ちらっとしか儀式を見ることができませんでしたが、バグパイプ奏者に率いられた謎の集団が、ハギスを高く掲げつつ会場内を練り歩いていました。ん?ハギスはこっち側にあるのだけれど?? ウェディングケーキは切る前から別のケーキが既に切り分けられているのと同じ論理ですね。

 このハギスは少しだけつまみ食いさせてもらいましたが、内臓ばかり使われている割にはあまり生臭くありませんでした。これを調理したバーテンダーさんによれば、日本人向けにアレンジしてあるとか。臭み消しにショウガでも使いました? スコッチを振りかけて食べるのが良いそうですが、個人的には振りかけるよりドボドボ注ぎ込んでウィスキーの中にハギスが浮いているくらいの量が良いと思います。スコッチ特有のオイルっぽい風味が、ハギスととても調和していました。というか、ウィスキーに肉類が合う、私の中で初めての事例でした。

 ハギスの儀式中に歌いあげられていた『ハギスに捧げる歌』ですが、これはスコットランドの詩人ロバート・バーンズが作詩したもので、会場では同時通訳しながら儀式が執り行われていたようですが、例によって取り分け作業に忙殺されていたため、これまた耳に入ってきませんでした。後で調べてみましたが、日本語に翻訳されたソースが見つからず、やはり何を言っているのか全く分かりませんでした。気になりますねぇ。

Nice seeing your honest, chubby face, Great chieftain of the sausage race!
Above them all you take your place, Belly, tripe, or links:
Well are you worthy of a grace
As long as my arm.

あなたの誠実さ、まんまるの顔、すばらしいーソーセージ種族の長(?)に会えて良かったよ。
腹の中、胃とそれに繋がっているものはぜーんぶ持って行っちゃうよ。
そうですねー、あなたの食前の感謝の祈りは私の腕の長さくらい尊敬できるものですかね。

The groaning platter there you fill,
Your buttocks like a distant hill,
Your pin would help to mend a mill
In time of need,
While through your pores the dews distill
Like amber bead.

うめき声を上げている大皿はあなたでいっぱいになって
あなたのお尻は離れあった山のよう
あなたの脚は必要な時間のうちに挽肉機を修理するのに役に立つでしょう
あなたの毛穴に純粋なものを通している間、琥珀ビーズのように蒸留してね

His knife see rustic Labour sharpen,
And cut you up with practiced skill,
Trenching your gushing entrails bright,
Like any ditch;
And then, Oh what a glorious sight,
Warm-steaming, rich!

彼のナイフはいい働きっぷり、 熟練した技能であなたを切り裂き、 眩しくほとばしり出ているあなたの内臓に堀を造ります。 そして溝だらけ。 そして蒸されているのはなんてリッチな、ステキな光景なんでしょう!

[かなり意訳かつ直訳な『ハギスに捧げる歌』(抜粋) : Address to a Haggis by Robert Burns]

 …経緯がよく分からないので何が何だか全く分からないですが、どなたか邦訳提供キボンヌ。しかし私がかなり間違った訳をしていないのであれば、単なるスプラッタな趣味としか思えませんね。バーンズさん(笑)

バグパイプ。リコーダーが布袋に突き刺さっているみたい。

 ハギスの儀式の最中に演奏されているバグパイプを、儀式終了後に見せて頂くことができました。布袋に義務教育時代に音楽の授業で使っていたリコーダーのような棒が何本か突き出た変わった構造。布袋にため込んだ空気で演奏するので、音の強弱表現はできないそうな。それにしてもバグパイプ奏者の方は汗びっしょりで、演奏にはかなりの体力がいるようです。

 開場から閉場まで7時間が過ぎ、バグパイプが奏でる『螢の光』の演奏で閉場の合図です。バグパイプで日本の音階が鳴らせるんだぁとぼぅっと考えていたら、確かあの曲はスコットランドの曲 (Auld Lang Syne) なんですよね。しかも作詞はロバート・バーンズ。このオマージュには、酔っぱらっている人は気づくまい(笑)。ところで全然関係ないですが、昔尺八でジャズスケールを奏でる年配の人がいましたが、お元気でしょうか。


貰われていく予定の試飲ボトルたち

 最後にお手伝いスタッフ一同が控え室に集まり、お手伝いのご褒美(?)である試飲ボトルが振り分けられました。全部のボトルが並べられた前でジャンケン大会となったわけですが、なぜか私が一番目に選ぶというラッキーに恵まれてしまいました。半分くらい残りがある GLENLIVET NADURRA を選ばせていただきましたが、このとき初めて酒飲みの間でナデューラナデューラ言われているものが GLENLIVET NADURRA ということを知りました。こんな程度の人間に持って帰られてもったいないような気もしますが、家で楽しませていただきます。

今後のこと

 今回お手伝いさせていただいて2回目ですが、それなりに頑張ったのに、主催者である土屋守氏から現場に直接のお疲れ様の一言もないのがちょっと寂しかったです。撤収作業が終わったら有料試飲のボトルかき集めて親族だけで(スコッチ文化研究所関係者として、奥さんや娘さんが大きく関わっているようです)そそくさと退場してしまうふりを見てそう思いました。総来場者 1,000 人超えのイベントにまで成長し、成功に導けたのも私たちお手伝いスタッフの力によるものもちょっとはあるのでしょうに、主催者としてもうすこし何かあったらなぁと思いました。

 個人的な思いはともかく、これからこのイベントをより大きくしていくのであれば、ボランティアスタッフに大きくウェイトを置いたイベント体制はそのうち破綻すると思います。今回もそうですが、全体を見渡して各スタッフにオペレーション指示を与えるようなリーダー的存在がいないので、スタッフの負荷に対応して人員をやりくりすることが全く行われませんでした。今回は 5 人の頑張りで何とかこなしましたが、何とかならなかったときに対処するすべが全くありません。

 そしてリーダーがいないということは、何も知らないスタッフは判断を迫られたときにどうすればいいか困ることしか出来ません。チェイサーを配る仕事をしていましたが、お客の一人に「この水は何ですか?」と聞かれて、水道水であると答えて良いのか判断がつかず、適当にアイレーの水と答えてしまいました。年配の方に来年も来たいからパンフレットを自宅に送ってもらうようにして欲しいと言われ、はてさてどの人がスコッチ文化研究所関係者でそうでないのかすら分からない私は、相談する相手に悩みました。周りのチェイサー係はちょうど繁忙期でとても声をかけられる状態ではなく、悩み抜いたあげく受付をやっているスタッフに訊いてもらうようお願いして、私はそのまま現場に復帰しました。飲み過ぎて体調不良になって倒れかけている人がいたのですが、救護室というものが設定されているのかどうかも知らず、ほったらかしておくべきかどこかに連れて行くべきか悩みました。悩んでいるうちに奥さんとおぼしき人が連れて行きましたが。

 不特定多数の人が入り乱れている上に、ウィスキーを飲んで酔っぱらっている人も多いので、お客同士でトラブルを起こすかもしれません。警備員も雇っていない現在の体制で、警察のお世話になるようなことが起これば、フェスティバル自体の存続も危ぶまれるかもしれません。今後のフェスティバル、もといはスコッチ文化(スコッチ文化研究所だけに)の発展の為にも、スタッフ体制の拡充を切に望みます。

 ところで、打ち上げでお手伝いスタッフと飲みに行ったユックでこれまた生牡蠣が出てきて、ウィスキーに関わると牡蠣の呪いがかかるに違いあるまい、との確信を得ました(笑)

  • *1 茹でたヒツジの内臓(心臓、肝臓、肺)のミンチ、オート麦、たまねぎ、ハーブを刻み、牛脂とともに羊の胃袋に詰めて茹るか蒸したプディング(詰め物料理)の一種。さまざまなバリエーションが存在するが、内臓としては主として肝臓が使われ、心臓や腎臓を使う場合も多い。胡椒などの香辛料を使うことが近年、一般的となっている。

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February 3, 2009