山崎ブルジョワ樽選び旅行

平凡なサラリーマンとして細々食いつないでいる庶民な私にも、一瞬だけブルジョワジーな夢を見られる瞬間がこの前訪れてまいりました。それは山崎ブルジョワ樽買い旅行。

貴重の体験の連続でした

 祖先は京都の農家(決して某有名武将の家柄ではない)という縁もゆかりもない家に生まれ、平凡なサラリーマンとして細々食いつないでいる庶民な私にも、一瞬だけブルジョワジーな夢を見られる瞬間がこの前訪れてまいりました。それは山崎ブルジョワ樽買い旅行。

 スコッチウィスキーは常に画一的な品質に保つため、ブレンダーが様々な特性の原酒をブレンドし、安定した味に保たれています。そのブレンドする前の樽原酒は樽材や天候などの要素によって樽ごとに大きくばらつきがあるのですが、逆の言い方をすれば個性豊かな風味を備えているともいえます。そういった、あえてブレンドする前の樽を丸ごと買い上げたうえで、瓶詰めまでしてくれるというこれまたブルジョワなことを、オーナーズカスクという商品名でサントリーが提供しています。所属するとある愛好家団体がオーナーズカスクで樽を買い上げてボトルを頒布するという計画が立ち上がり、今回はひょんなことからその樽の選定に立ち会わせていただけるというチャンスを頂くことが出来、図々しくも参加させていただきました。はたして素人同然の私がそんな場に居合わせさせて貰っても良いものなのでしょうか。

成田空港付近の車窓。本当にこの近くに国際空港があるのでしょうか!?

 そして往路で使った飛行機も、それに見合ったブルジョワジーなものを同行 M 氏にセレクトしてもらいました。サントリー山崎蒸留所は大阪と京都の境目にあり、飛行機で行くなら羽田 → 伊丹となるのですが、今回は何故か成田発。それは搭乗する飛行機の機材に秘密がありました。国際線専用機を次の出発まで空港に駐機しっぱなしにするよりは、国内線としてちょっと飛ばして少しでも乗客を運んでしまおうという便が成田~伊丹間に存在し(ANA2179便)、当然ながら機内設備やサービスもそのまま。ということは必然的に、国際線なら数十万取られてしまうファーストクラスが1時間弱という短い時間の間ではありますが体験できるとのこと。ちなみに国内線ではプレミアムクラスに準ずるので、お値段は約一万円増しの¥27,000です。

まずは飛行機から

 その飛行機は当然ながら、自宅から1時間かからず行ける羽田空港ではなく、成田エキスプレスを使っても2時間以上かかってしまう成田空港から出発するので、成田まで移動しなければなりません。しかし成田エキスプレスは使わず、あえて普通列車のグリーン車で行きました。そこだけブルジョワでないじゃないのと突っ込まれそうですが、車両の古さゆえにシートも乗り心地も旧国鉄時代並みである成田エキスプレスにバカ高い特急料金を支払うよりは、車両も新しくて乗り心地も快適な普通列車のグリーン席のほうがよっぽど良いとの、やはり同行 M 氏の弁。なるほど、真のブルジョワとは真のお金の使い道を知っているということなのですね、いたく感動しました。そんなわけで横浜から普通列車の横須賀線成田空港行き(エアポート成田)に乗り込み、グリーン車内で2時間の行程を快適な爆睡で決め込みました。ブルジョワですねー(?)


今回のプレミアムクラスと普通席で検査場が分かれています。

 成田空港に着いてからはかなり隅に追いやられている国内線ロビーにてくてく向かいます。ファーストクラス搭乗者は優先検査場を使えるのですが、先に並んでいた客実乗務員軍団に行く手を阻まれてしまい、結局空いていた普通の検査場に通されました。これを甘んじて受け入れるのもブルジョワの役目ですね…。


見慣れない人にとってはちょっとびっくりなファーストクラスのシート。

 そんなこんなで乗り込んだファーストクラス(国内線だとプレミアムクラス)ですが、機内区画にはガンダムの操縦席みたいなタマゴ型の座席が 4 席× 2 列配置されていました。そのうちの一つに優先搭乗で先に案内されて着席したのですが、後から続々と搭乗してくる普通席の乗客へのいい晒し者になってしまい、恥ずかしいったらありゃしません。やはりここは「当然」って涼しい顔をしなければならないのですね。これもブルジョワの使命ですか…。


シートの制御卓(?)。これでもかと言うほどいろいろなところが調整できます。

 ファーストクラスのシートは疲れを必要最低限にするためにさまざまな仕掛けがあります。離着陸時のシート状態からビーチチェアのようなリクライニング状態や、完全に横になれるフラットなベッド状態にボタン一発で変形できます。さらに背もたれからヘッドレストに至るまで、シートのすべての部分が微調整可能になっています。ここまで来るとガンダムもびっくりです、すごいですねー。さらにおまけの機能で腰部のみマッサージ機構がありますが、単に振動するだけで、このあたりは家電品のマッサージチェアの方にアドヴァンテージがあるようです。

 リクライニング状態は試しましたが、さすがにフラット状態はたかだか一時間弱のフライトで試すのも恥ずかしく、ここらへんも自分のブルジョワ資質が問われるところです。斜め向こうのおじさんはベルトサインが消えた直後からフラットにして爆睡を決め込み、着陸が迫って客室乗務員に揺り起こされるまでそのままでした。真のブルジョワはこれくらいでないとダメですかねー。


機内食のデリ。これを1時間で食べなければならないのもつらい。

 機内サービス面でも執拗なるお飲みになられますか攻撃を食らいましたが、高空での酔いの早さを警戒してワインだのビールだのには手を出さず、お茶ばかり貰っていました。ただしこのお茶、ペットボトルの出来合いのお茶をそのまま入れているのではなく、お茶っ葉の状態から淹れてるとのことで、下手にお酒を頼むよりよっぽど気持ちがいいと思いました。でも高空での自分の酔いの早さを試すためにもちょっとはお酒に手を出しても良かったかなぁ。

 食事は…というか17:55発なのでデリが出てくるのですが、これはまぁ普通。ちょっとのサンドイッチと季節のフルーツとデザートが出てきます。でも飛行機でこれだけのものが出てくるのは凄いことだとは思うんですが、ビジネスやエコノミーで出てくるいかにも機内食なものも結構好きだったりします。う~ん、このあたりもブルジョワ的に問題がありそうな気が。

 その他にも国内線では電源が切られていて使えない状態でしたが、15インチくらいの液晶テレビ、ノートパソコン等を差すであろうAC電源、クレジットカードを挿入すると使える備え付けの電話機などなど、コンパクトながら至れり尽くせりの設備にはいたく感心しました。ちなみにこの席で欧州に行くと軽く100万円は超えるとのことです。使えるような身分になれればいいですねぇ。

 伊丹空港に着いたら、まっしぐらに宿のある新大阪…ではなく、阿部野橋(天王寺)に向かいます。目的は新世界のジャンジャン横町です。ここにある場末の串揚げ屋は関東ではなかなか出来ない体験でハマります。その後は忙しくも塚本に移動し、関西スコッチ飲みの聖地(と勝手に解釈している)婆娑羅にお邪魔。その後はタクシーで新大阪に戻って就寝するという、ブルジョワなんだかそうでないんだかよく分からないハシゴをしました。

そして樽選び
山崎はとっても暑かったです…。

 とっても暑くなってしまった翌日昼過ぎに、山崎駅から徒歩で行けるところにある山崎蒸留所内で待ち合わせ。待ち合わせる場所等は具体的に決めていなかったのですが、とにかく暑いのでとりあえずゲストハウスで涼んでいようということで屋内で汗を乾かしていると蒸留所の係員の方が近寄ってきて「オーナーズカスクのMさん(同行M氏の本名)でいらっしゃいますか?」と声をかけられました。何故M氏のことが分かったか不明ですが、標準語をしゃべっていただけでなく、やはり氏からはブルジョワのオーラが放出されているのでしょうか。何か負けた気がしたのは言うまでもありません。私には備わっていないものを、氏は身につけているに違いありません。


明と暗が美しい、商談室への通路。 今回は数ある樽の中からこの5本を選んでいただき、テイスティングさせて頂きました。背後の瓶はその他の樽のもので、ひと樽一千万とか平気であります。

 その後係員の方に案内されたのは一般客向けのフロアではなく、エレベーターで真上にある専用の応接部屋(商談室)に通されました。そこの作りがまたブルジョワジーな空間で、板張りで手入れの行き届いた板張りの床、埋まるのも恐れ多い高級そうなソファ、どこかの著名家具デザイナーが作ったようなおしゃれな椅子とテーブル。窓の向こうには涼しげな竹林が見えます。まさにCMにでも出てきそうな完璧な部屋です。この部屋にて私を含めて計6人での選考会が始まりました。

 樽はひと樽100万円程度で買える比較的廉価なものを山崎側に5樽セレクトして貰い、その中から私たちが実際にテイスティングして1つに絞ろうというものです。昔はその半額くらいから行けたらしいのですが、昨今のスコッチブームで既に商品が回らないような状態に陥っているとのことでした。ブームの前から飲んでいる私たちにとっては何とも悔しいばかり…。

 5本の中から2本は価格および味の両面から即はねられ、最終的にはフルーティな風味の強いものと刺激的なもの(=個人的感想)のものが残り、多数決により決定となりました。なお、試飲に際してはストレートはもちろん、わずかな加水やロックなどの飲み方でもテイスティングされましたが、個人的にやってみたかったハイボール(ソーダ割り)で試してみたいなんて言い出したら殺されかねない雰囲気だったのでやめておきました(笑)

 個人的な好みから言うとフルーティーな前者の方が好きでしたが、価格面その他の事情(瓶詰めした約100本を捌かなければならないため)を総合的に考慮した結果、後者と相成りました。マニアックな味なので、玄人のひとも満足できるものと思います。ちなみにこの瓶は一般の人でも入手することが出来ますので、興味がありましたら鶴見にあるバーを訪ねてみてくださいね(と、宣伝宣伝!)


貯蔵庫の暗闇の中で懐中電灯に照らされながら樽にサイン。

 樽を決めたらその後はオーナーズカスク専用の倉庫に行って樽にサイン。私の自サインもちゃっかり入っています(笑)。もうこれは最強のブルジョワジー体験ですね。ほかにも倉庫内には個人名・団体名の書かれた多数の樽があり、ひょっとするとその中には有名人の名前もあるのかも…とそんな考えるとぞくぞくします。とりあえず団体の顔としての樽が決まったのですから、目出度いですね。

 さぁ、今回の記事で何回「ブルジョワ」と書いたでしょうか。正解者の中から抽選で3名様に今回選定した樽を瓶詰めした後の空き樽をプレゼント…と行きたいところですが、実は結構危険なものらしく、フタの部分(樽鏡)のみ送ってくれて後は処分されてしまうそうです。その樽材でもう一度小さく作り直して熟成し直してみるとおもしろかも!?


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July 31, 2008 Comments (2) Trackback (0)
pine eye さん August 1, 2008 11:22 AM

CAがプレミアムクラス専用のセキュリティーゲートを
占拠して使っているのは非常に疑問でした。
逆に実際にプレミアムクラスを乗る我々が移動するというのは
おかしな話だったと思います。

たけだ@管理人 さん August 2, 2008 11:12 AM

>pine eye さん
 そうですね。まるで搭乗前はまだお客様じゃないって印象を受けてしまいました。まぁ職業柄遅刻したら大変なことになってしまうのでプレミアムクラス専用を使っているのだとは思いますが、だったら職員専用を別途設けて欲しいものです。

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