四国旅行の記事を上げたばかりですが、また旅に出てしまいました。四国旅行から一ヶ月しか経っていません。今年の GW は曜日の並びが悪い上に業務の都合でかなり潰れる可能性があったので、予定を全く入れていなかったのですが結局数日だったら休めることになり、急遽この旅行を立ち上げました。時間がないので旅行社は全く通さず、予約したのは高崎の APA ホテルのみ。
今回の旅行の個人的なコンセプトのうちのひとつとして、以前使うのにあまり気乗りがしない旨を書いたモバイル Suica をきちんと使ってみたいというのがありました。実はあの記事のあと再度契約し直しまして、通勤定期券をモバイル Suica にしてみました。定期券の機能以外にもチャージやグリーン券購入をどこでもすることが出来たり、新幹線の席予約も出来たりと機能がありすぎるので、今回の旅行で一通り使ってみようかという企画。使い勝手が悪ければ定期券の期間終了とともに解約ということで。
そしてやはりお酒は外せません。今回はメルシャン軽井沢蒸留所への来訪です。メルシャンは先日キリンに買収されたのですが、キリンの目的はあくまでもメルシャンのワイン部門であり、キリンにとってどうでもいい(と思われる)ウィスキー部門はなくなってしまうんじゃないかという噂もあります。実際、軽井沢蒸留所は去年から蒸留を行っておらず、保有している熟成中の樽についても全てキリンの御殿場工場に移動してしまったという具体的な噂も聞いています。3 人いる職人のうちの一人がやめてしまったとも聞きました。もう組織としてはすでにめちゃくちゃで、キリンのいい道具のように扱われてしまっているように聞こえます。
キリンも申し訳程度にはウィスキーを生産してはいますが、ラインナップ的にもあまり出来が良いとも言えないものばかりで、そんなキリンに併合されてしまうことによる軽井沢蒸留所の閉鎖は日本人にとっての損失といっても過言ではありません。ちょっくら様子を見てくるかぁ的に訪ねてみようと思います。なお、軽井沢までに行く経路で大宮の鉄道博物館や信越本線の碓氷峠があるので、そこにもちょっくら立ち寄ってみましょうかね的に寄り道もしてみようかなというのが今回の旅行計画です。

昼前にゆっくり待ちあわせて、湘南新宿ラインで大宮に向けて北上します。まずは横浜駅で食料の調達。横浜駅の駅弁といえばやはり崎陽軒のシュウマイ弁当ですが、長らく横浜市民をやっておきながら食べたことがほとんどないので採用。というか、他に選択肢がないというのもあります(笑) ここでさっそく Suica 払いと洒落込んでキャッシュレスと行きたかったのですが、そもそも相鉄改札口の崎陽軒売店では Suica の取り扱い自体がありませんでした。構内の崎陽軒で買えば使えたのかな…まあいいや。
そして崎陽軒調達後は湘南新宿ラインに乗るため JR の横浜駅へ。改札を通過するためにモバイル Suica を行使すべく携帯電話を用意しようとしていたころに、友人 M 氏の待ったがかかりました。自動券売機で蒲田までの乗車券 ¥210 を購入し、同時にみどりの窓口で蒲田~横川間 ¥2,520 を分けて買ったらいくらか安くなるとのこと。モバイル Suica を使い倒す目的から外れてしまいますが、面白そうじゃないですか。JR の乗車券の例外規定を上手く使って出来るテクニックがいくつかあるのは知っていましたが、これに関しては初めて知りました。確かにまとめて乗車券を買うと ¥2,940 になるので、¥210 得しているのですが、その後調べても該当する特例が見つかりません。電車を降りたあとも切符が手元に残るので、なんかキセルをしたような気分です。これに関してどなたかご存じですか?
今回の旅行ではもう一つ特例を使っています。高崎駅で宿泊しますが、購入した切符はそれを乗り越えて横川まで買っています。片道100キロ以上の普通乗車券の場合は、途中下車して翌日また同じ切符を使うことが可能だからです *1 。これも同行 M 氏に教えて貰いましたが、いやぁ良くこんな裏技中の裏技をご存じですねぇ。
そして湘南新宿ラインのグリーン車へ。ここで前もってモバイル Suica で携帯電話にてグリーン券を購入しておけば、券売機やみどりの窓口での事前購入と同じ割引扱いになります。そして座席の上にある端末に携帯をかざせば、検札も完了。これで睡眠中に車掌に起こされることもありません。いやぁ快適快適。
そんなまったりモードで大宮に到着し、いざ鉄道博物館へ。大宮からニューシャトルに乗らずに、JR 大宮車両基地沿いに歩いて行くと面白いモニュメントがいくつか見られますよと、今度は私の方から同行 M 氏に進言。前回は往復ともにニューシャトルを使ったので一度歩いてみたかったのです。
前回来たときは企画展示が新幹線特集だったのに対して今回は中央線特集だったり、GW 真っ最中なので中央にある転車台を回すデモンストレーションをしていたりしました。今回2度目なので、奥深いところまで同行 M 氏の解説も交えて楽しませていただきました。101 系の台車に男二人で立ちつくしたり出来るのもヤロー旅行ならではの醍醐味です。
博物館を出たあとはニューシャトルで大宮駅まで移動し、Becker's にてモバイル Suica 支払いでピピッとキャッシュレスにおやつを入手。再びモバイル Suica でグリーン券登録を済ませ、高崎線でいざ高崎駅へ。しかし大きな誤算がひとつあり、もろ帰省客の方向と時間にぶつかってしまい、デッキでの立ち乗りになってしまいました。このまま着席が出来なければ車掌から未着席証明書(だっけ?)を発行してもらい、夢のグリーン券払い戻し扱いも体験できる!?とわくわくしましたが、桶川あたりで座ることが出来ました。
宿泊先の高崎駅前の APA ホテルに荷物を置いたあと、我らがスコッチ文化研究所群馬支部会員のお店、COOKTAIL BAR 「Point」 へ情報収集をかねて挨拶に。ファンタジー世界では酒場での情報収集は旅の基本です(笑)。マスターは 50 代とおぼしき方でしたが、過去に飲んだスコッチのボトルラベルをアルバム形式でずらりと見せて頂き、その中に 1960 年代のものとかもありブームになる前からはまっている人ははまっているものだなと、己のスコッチ飲み歴の浅さをひたすら実感するのでした。とりあえず私たちもこれから飲んだスコッチのボトルラベルは全て取っておき、定年後に二人で眺めながら余生を過ごすことにします。
ためになるはなしもいくつか聞きました。というか新見解の話もいくつか聞くことが出来ました。
ラベル集めや保管方法に関してはちょっと実践してみようかなと思います。マスターの人柄や、置いてあるものにハズレがないことなど、とても良いお店だと思いました。店の名前でカクテルバーを謳っているのにスコッチしか飲みませんでしたが、今度来る機会があればカクテルも頼んでみようと思います。友人 M 氏は仕事でちょくちょく高崎に来るとのことで、電車の時間とにらめっこしつつ来てみようかなとのこと、羨ましい。
高崎駅を早々と後にし、信越本線で終点横川へ。途中の安中駅から見える東邦亜鉛安中製錬所の景色が、まるでラピュタの一シーンのようで面白かったです。
横川といえば … そう、かつての鉄道の難所、碓氷峠です。
碓氷峠越えを要する横川~軽井沢間は 552m の標高差があり、これをたった 10km あまりの線路で登り切らなければならない、鉄道の難所として有名でした。なかでも一部の区間に存在する 66.7 ‰ *3 の勾配は、鉄道線路としては日本一の急勾配です。通常の電車のみではパワー不足なため、この区間を通る電車はすべて機関車二両によるお供が必要となるという、マニア垂涎の区間です。
以下、廃止前の映像です。重連の機関車が普通の列車を押し上げるいう、異様な光景を見ることが出来ます。

1997 年の長野新幹線の開通と当時に廃線となってしまいましたが、現在では区間の一部が遊歩道として整備されており、なおかつ横川から一部の区間まではかつて使われていた線路を使ったトロッコ列車で行くことも出来ます。1963 年まで使われていた、明治時代(1893 年)に建設された旧ルート沿いが主な遊歩道となっており、長野新幹線開通直前まで使われていたルートは現在活発になっている碓氷線復活のために温存されているとのことです。
遊歩道の途中(=トロッコ列車の終点)まではトロッコ列車に乗っていきました。遊歩道沿いにはトンネルを含め、当時を偲ぶ建築物を多数見ることが出来ますが、何せ工事にあたって 500 人の犠牲者を出したとのことで、トンネル入るのがちょっと怖かったり(^^; でも廃線後を歩くというのは、なぜかわくわくしてしまいます。トンネル内部はかなり痛んでいますが照明も整備され、要所要所補強もされていました。
遊歩道は横川駅から碓氷旧線沿いに 4.8km が整備されており、終点はめがね橋(第3橋梁…碓氷川橋梁)です。このめがね橋もかなり立派な橋で、高さ 31.39m 長さ 91.06m のれんがアーチ橋です。この橋を見たときに、ここに列車が走っていたんだなという時間の経過を実感させられました。橋の上から山側を伺うと、碓氷新線(昭和38年~平成9年使用)が遠くに見えます。
横川への帰りはトロッコ列車の乗り継ぎが良くなかったので、横川までの全行程を歩くことにしました。鉄道にとっては急勾配ですが、人間にとっては歩きやすい緩やかな坂です。当日は天気も良く、絶好のハイキング日和でした。

往復 9.6km (うち 2.8km はトロッコ列車)のハイキングを終えて横川駅に再び到着。横川駅前のおぎのや本店で、有名な峠の釜めしを頂きました。横川駅では碓氷峠を登るための機関車の切り離しおよび連結するために停車時間が長く、その時間を利用して乗客が購入していったとのことです。現在の横川駅は途中駅ではなく終点の駅なので、ここからバスを使って軽井沢まで行きます。
バスで碓氷峠超えを遂げて軽井沢駅に到着。駅前にあるばかデカいアウトレットモールなんかには目もくれず、一目散にしなの鉄道に乗り換えます。下車した御代田駅そばに軽井沢蒸留所がありますが、ホーム内のプランターからしてメルシャン。さすが。
そしていよいよやってきました、軽井沢蒸留所。もともとここはウィスキー生産のみの施設のせいか、まだ KIRIN の文字は見受けられません。今まで余市・仙台宮城峡などの明光風靡な蒸留所を訪ねてきましたが、この軽井沢蒸留所もそれに負けない綺麗な景色でした。遠くには世界でも有数の活火山である浅間山が見えます。ウィスキーの味に火山灰の味がする時代も来るかも知れません!?
今回の軽井沢蒸留所来訪は単なる観光ではなく、スパイ活動が主な目的です。前述の通り軽井沢蒸留所は閉鎖の可能性があり、事実、毎年行われている蒸留を去年から行っていないとのこと。軽井沢蒸留所の行く末を探るために、万を喫してやってきた次第です。まずは蒸留所内で1時間毎に行われている見学ツアーに参加しました。
見学ツアーはウィスキー製造の工程順に製麦 *4 、糖化、発酵 … といった具合に、ごくごく普通の製造過程の説明が続きますが、肝心の製造施設の撮影は禁止。友人 M 氏曰く、キリン的になりつつある、と言っていました。いよいよやばい? 製造施設は完全に火が落とされた状態で、ウィスキーが作られている気配が全くないにもかかわらず、案内のお姉さんは現在蒸留をしていない旨の説明を全く行わず、これまたいよいよ怪しい。もうここでウィスキーが作られることはこれからはなく、単なるウィスキー博物館化してしまうのでしょうかと不安に駆られただけでツアーは終わりました。
失意のままに売店に行き、試飲コーナーを見て驚きました。もちろん有料試飲はあるかなと思っていたのですが、無料試飲があるじゃないですか! しかも一本一万円近くする軽井沢 17 年!! …しかし私は考えすぎてしまうたちで、キリンに完全併合されてしまう前に、キリンの名前で売られるくらいだったら今のうちにタダでも良いから放出してしまえと考えているに違いないと解釈し、さらに落胆してしまう始末。とりあえず頂くことにしましょう。軽井沢 17 年以外にも、シングルカスク製品である軽井沢 VINTAGE シリーズもいくつか有料試飲が用意されており、同行 M 氏と即席飲み会テイスティング会が急遽開催されました…売店内で(笑)
テイスティングによっておみやげのターゲットをある程度絞り込み、レジで精算を済ませながらフランクにお姉さんに軽井沢蒸留所の現状と今後について聞いてみました
との嬉しい返事が!! その他にも同行 M 氏が同じくレジのお姉さんにぶつけた質問に対する解答を会わせると、
組織的な理由で蒸留を行っていない。
いち早くの操業の再開を祈っています。蒸留の中断は、イコール十数年後の商品ラインナップの穴になってしまいますからね。
蒸留所内が撮影禁止とのことでしたが、そのまますごすご帰るのも悔しいので、敷地外から中が見えちゃう分なら構わないだろうという独善的な解釈で、スクープ撮影してきたものをご紹介。撮影しているときはなんか週刊誌記者のような気分でちょっと面白かったです(笑)
メルシャンの統廃合は別に今に始まったわけでなく、1934 年からの何回かの吸収合併を繰り返しています。そのときの名残を残す屋号が見えました。大黒葡萄酒軽井沢工場。
構内はきれいに整理整頓され、フォークリフト用パレットはまだ真新しいことから、荷物の入れ替えはそれなりに行っていると伺えます。
バンドが錆びきった樽。これだけ見ると遺跡のようです。
蒸留所専用の通用門は開かれていて、人の出入りもたまにあるようでした。
帰りは軽井沢から長野新幹線で一気に東京へ。たった一時間あまりで東京へ帰れてしまうことを考えると、碓氷峠超えは大変だったんだなと、当時の交通事情に想いを馳せました。あと軽井沢で再びおぎのや峠の釜飯を買って帰り、主に釜が欲しかったのですがこれの利用方法についてはまたの機会に。
即席で立案したにしては、とても有意義な旅行でした。
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